金属・鉱物の市場調査で定評のある英国の調査会社Roskillは、マグネシウムメタルの世界的需要と供給についての分析をまとめた調査報告書 "The Economics of Magnesium Metal, 10th edition" を発行しました。
世界市場の独占は続く
世界のマグネシウム市場における中国の需要と供給の独占はこれからも続くでしょう。2006年にNorsk Magnesiumのカナダ工場が閉鎖したのにつづいて1998年以来、西欧諸国の工場がいくつか閉鎖に追い込まれ、中国以外の主要な一次マグネシウム工場はわずか6ヶ所残っているだけで、そのうち2工場が自社使用のために生産している状況です。その結果、中国における生産高は2007年の世界生産高の約860kt(キロトン)のうち、77%を占めるようになりました。
ここ数年、中国以外で調査または実施されたすべての新規マグネシウムプロジェクトが中国との競争に直面し、経済的魅力がないとして中止されるか、中断されたままになっています。唯一の代替供給源としてはコンゴ人民共和国のKouilouマグネシウムプロジェクトがあげられます。Pointe Noire近郊の一次マグネシウム生産工場では酸化カリウムとともに72ktpy(キロトン/年)を生産しています。中国の生産高は2007年には200ktpy以上に達し、このまま2008年、2009年と続くと見られます。
中国のマグネシウム市場は世界最大で2007年には250ktに達し、世界市場の30%を占めています。マグネシウム合金ダイキャスト成分では特に自動車産業が最大市場となっています。これは2000年代中期にアルミニウム(主に飲料缶に使用された)の合金化添加成分として使われた量を大きく超えるものになっています。中国においてマグネシウム合金ダイキャストの需要は2006年に2倍となり、自家用車の所有が年間50%を越える割合で伸びていることもあって、その需要は急激に伸びています。
2007年にはマグネシウムの価格が2倍になりましたが、上昇幅が想定された範囲であることから、投資家にとって新規マグネシウムプロジェクトは魅力あるものとは言えません。
Pidgeon法
実質的に中国のマグネシウムのすべてがPidgeon法で製造されています。この方法では、大規模なコンピューター制御のロータリーキルンが使用され、コークスオーブンガスあるいは石炭と水の混合物を石炭の直接燃焼に代わって利用し、また排ガスを再利用して還元炉や精製炉に必要な熱源を産み出しています。
一次マグネシウムの生産高の推移
世界における一次マグネシウムの生産高は2002年の485ktから2006年には757ktに増加し、2007年には860ktに達しました。二次マグネシウムは、特に米国では供給量の40%を占めており、重要な供給源となっています。世界のマグネシウムのリサイクル量は約150ktpyですが、そのおよそ半分が米国によるものです。
世界の消費
マグネシウムの世界消費は2002年から2005年の間に約800ktに達する急激な上昇を示しましたが、2006年においては、中国の需要が伸びたのにもかかわらず、米国、欧州の需要の下落によって前年並みとなりました。しかし2007年には、中国の消費が60%増加して250ktに達したこと、また世界の需要が30%増加したことから、世界の消費量は上昇しました。現在、米国(20%),日本、カナダ、イタリア、ドイツがマグネシウムの中国以外の主要市場となっています。